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それで、磯波のチョコは?
俺が観念してそう聞くと、磯波は不思議そうな顔をして
提督はチョコ貰うの、嫌だったんじゃないんですか?
と逆に聞き返してきた
え・・・え~と・・・どうしてそう思ったのかな?
俺が更に聞き返すと
だって提督が、みんなのチョコを受け取る時の笑顔が
微妙にいつもの笑顔と違っていましたし・・・だからそうなのかなと
磯波は首をかしげながら、そう説明してくれた
いつの間に見られていたんだろう?^^;
俺としては磯波の前で、他の子から受け取った記憶は無いのだが・・・
そう思いながらも
そうか~磯波にはバレちゃっていたのか~
と言って、俺は困り顔で頭を掻いた
すると磯波が
でもあれってどうしてなんですか? 提督はチョコが嫌いとか?
まるで名探偵の顔で、そう質問してきた
ん~・・・そういう訳では無いんだけどね^^;
そう答えた俺は、たぶん難しい顔をしていたのだろう
磯波が一層不思議そうな顔で、俺を見ていた
これでは説明しない訳にはいかなさそうだな・・・
仕方なく俺は重い口を開く
実はね・・・君達艦娘からチョコを受け取るのに、抵抗があったんだよ
だって俺は、君達の仲間を沢山・・・死なせてしまった
そして俺は、これからも君達を
死地に向かわせる命令を、しなくてはいけないだろう
果たしてそんな俺が、君達の好意を受け取っても良いのか・・・
それに疑問を感じてしまっていてね・・・
俺はそう心の内を明かした
すると磯波は、悲しそうな顔をして
そんな事を考えていらっしゃったんですね・・・
と呟いた、そして暫く考え込んでから
でも提督・・・私達艦娘はたとえ怖くても
勇気を振り絞って、戦場に臨むんです
その時の勇気の元って、理由はそれぞれだと思いますけど
結構多くの者が、提督の事を思って勇気を振り絞っていると思います
もちろん、この国の為にっていう真面目な子もいるでしょうけど
提督が好きだから頑張れる、提督の為だから頑張れる
きっとそう考えている子は多いです
だから提督にチョコを受け取ってもらえた子は
みんな嬉しかったと思いますよ・・・
少し思い詰めた様な、それでいて優しい感じで、磯波はそう語った
俺は磯波の言葉を聞いて、胸につっかえていた物が、消えていくのを感じていた
そうか・・・俺はみんなのチョコを貰って良かったのか・・・
俺がそう呟くと、磯波も優しく頷いてくれていた
ありがとう磯波、おかけで君達艦娘の好意を今迄より受け取りやすくなったよ
そう礼を言うと、磯波は今度は微妙な顔になって
私・・・今、自分で墓穴を掘ってしまった様な気がします・・・^^;
それって提督が、今迄よりみんなを受け入れちゃうって事ですよね?
そう言って、磯波はスネた様にそっぽを向く
あ・・・いやその・・・でもそれが君達の為であり
ひいてはこの鎮守府の為なのかなって・・・思ったんだけど・・・^^;;;
俺がしどろもどろに、そんな事を言うと
それはその通りなんですけどね
でもそれと、焼きもちを焼いてしまう乙女心は別なんです!
磯波はそう言って、プクッと頬を膨らませる
くう・・・可愛い^^; そう思いながら
それで話は戻るけど、磯波のチョコは?
と最初の質問を、もう一度してみると
磯波は困り顔になって
最初は渡そうと思っていたんですよ・・・でも
提督が何人もの艦娘からチョコを貰っているのを見て、ムカムカして・・・
しかも提督は、微妙な顔つきでみんなのチョコを受け取っていたから
提督はチョコ嫌いなのかなと思ったり・・・
そんなこんなで・・・自分で食べちゃいました^^;
磯波はそう言って、ペロリと可愛く舌を出してみせる
どうやら今日一日、彼女にずっと様子を見られていた様だ^^;
それに全然気が付かなかったとは、我ながら未熟だな・・・
ごめんな磯波、君の思いに気づいてあげられなくて
俺がそう謝ると
いえ、私こそ勝手に早とちりして、勝手に怒って食べちゃったりして
その・・・・ごめんなさい
と言って、磯波は頭を下げてきた
俺は良いんだよと言って、笑って磯波を撫でてあげた
それから暫く2人で笑い合って、楽しい時間を過ごしてから
磯波は帰っていった・・・
俺は晴れ晴れとした気持ちで、眠る事に・・・しようと思っていたら
押入れが、バンッ!!と不機嫌そうに叩かれた・・・内側から
初雪の奴・・・ずっと居たのか^^;
たぶん磯波との会話も、ずっと聞いていたのだろう
今は御立腹の様子だから、そっとしておこうっと・・・^^;
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