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モニター越しに、俺の祈りは通じるのだろうか・・・

そんな事を考えていると、綾波から通信が入る

敵潜水艦を感知しました

俺は単横陣形で対潜戦用意! と指示を飛ばす

潜水艦は1隻のみだった様で、無傷で勝利出来た

MVPは綾波だ

俺は進撃を命令する

前回苦しめられた、ポイントに差し掛かる

敵艦隊発見! 白雪の発見報告が響く

 

やはり居るか・・・

単縦陣、艦対戦用意! 俺は素早く指示を出す

敵は、軽巡洋艦エリート1、雷巡洋艦エリート1、駆逐艦3!

綾波から敵艦隊の編成が告げられる

エリートが2隻か・・・厳しいな

砲撃戦が終わった所で

 

綾波と白雪が、敵の駆逐艦2隻を沈めていたが

それに対し、こちらは白雪が中破、潮、磯波が小破となっていた

予想通り、厳しい戦闘となったな・・・

 

そして雷撃戦に移行する

雷巡洋艦エリートの魚雷の数は、想像を絶する物だった

とても数えきれない物量の魚雷が迫る

標的は・・・二番艦! 白雪だ

回避しきれず、白雪が爆発に包まれる

白雪「そ、そんな…まだ私は何も…」

 

軽巡洋艦エリートの魚雷を回避した綾波が駆け寄るが

だめです・・・即死です・・・

綾波から、絶望的報告が入る・・・

敵はこちらの魚雷攻撃で、3隻目の駆逐艦が沈んだ様だ

エリートの2隻が、撤退を開始する

追撃はして来ないか・・・慎重な敵だな・・・

敷波より、倒した駆逐艦からパーツを入手したと報告が入る

 

俺は、第一艦隊に撤退の指示を出した

これ以上は無理だ・・・

古参で改造までしていた、主力の艦娘を失ってしまった

この海域で明日もまた、戦えるのだろうか・・・

更なる戦死者を出してでも、戦い続けなくてはいけないのか

不意に、後ろから睦月に抱きしめられた

どうやら、戦闘に夢中になっている間に

 

第二艦隊は戻っていたらしい

第二艦隊の6人も、映像を見ていたのだろう、動揺が激しい

吹雪は声を殺して泣いている・・・

 

妹の・・・白雪の死を見てしまったのだろう

無理も無い事だ

 

しかしそんな中、突然

 

吹雪の頬を、不知火が引っ叩く

しっかりしなさい!  貴方も艦娘でしょう!

明日、あの戦場に送られるのは、貴方かもしれないのですよ!

しかし、そう言う不知火も涙を浮かべているのだけどな・・・

​口には出さなかったが、不知火にもショックは大きかった様だ

俺は睦月から報告書を受け取り、第二艦隊に補給の指示を出す

第二艦隊は半数の者が、涙を流しながら退出して行った

暫らくして北方泊地に帰還した、第一艦隊にも補給を命令

その後、傷ついた磯波と潮の入渠を行い

そして綾波に通信を入れた

 

白雪の遺体と、入手したパーツを送る様にと・・・

きっと俺の声は、感情を抑えた無機質な物に聞こえただろう

それでも綾波は、その事には何も言わず

​ただ了解です・・・とだけ答えた

通信を終えて、自室へと戻る

1人になると、どうしても白雪の事が頭に浮かんでくる

 

睦月、綾波に続き3番目に俺の元に来てくれた彼女・・・

 

いつも真面目で、みんなの模範となっていた彼女がどうして・・・

 

そんな思いが胸に溢れてくる

 

こんなに辛い思いをするのなら・・・提督なんて辞職しようか・・・

そうも思うが、そんな事をしたらきっと

死んでしまった彼女なら、怒るんだろうな・・・

白雪は・・・いつでも真面目だったものな

 

そうだよな・・・今更逃げる訳にはいかないよな

 

どんなに辛く苦しくても、戦い続けるしかない

死んでいった彼女達の為にも・・・

​覚悟を決めても、溢れる涙は止まらなかった・・・

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